直輝の元に

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診察室の椅子に座ると、谷口さんが顔のガーゼを外して消毒を始めた。 少ししみる。 「冴さん。今はこんな感じになってます。 傷は時間が経ったら消えるから心配しないで」 山口さんが鏡を渡してくれたので、震える手で受け取った。 ゆっくり鏡を見る。 これが、私の顔? 唇は腫れ上がり、鼻は高くなっているけど傷が目立つ、目は綺麗な二重になっていた。 私の顔なのに、まるで違う人のように見える。 ショックで口を聞くことが出来なかった。 「冴。唇の腫れは、もう少ししたらひくから気にしなくていいよ」 隣にいる直輝が、私がショックを受けた事に気付いたのか慰めてくれている。 そうだとしても、今までの自分の顔じゃない別の顔になった事が悲しかった。
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