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しばらく考えて、決心する。
仕事は受けない。
そうなると、これからやることはひとつだ。
押入に押し込めていた大きめのキャリーバッグを引っ張り出し、中に詰めていた物を全部出す。
「クロ?」
「入れ」
「は?」
「窮屈かも知れないが、入ってろ。猫も一緒にだ。お前が見つからないように外に出るには、今はこれしかない」
困惑しているシロをよそに、猫はすんなりとバッグの中に入って丸まった。
猫が入ったことで、シロも意を決したようにバッグの中で横になり膝を抱える。
「ごめんな、少し我慢してくれ」
「うん」
頭を撫で、バッグを閉じた。
俺は着ていた服を脱ぎ、仕事着に着替えた。
シロをバッグに入れたのは、シロを守ると同時に、俺の秘密を知られない為だ。
「俺がいいって言うまで、喋るなよ」
「わかった」
返事の後、まずは携帯電話を破壊。そしてパソコンも壊した。
部屋を見回す。
俺の生活していた跡は大量にあるが、シロがここにいた痕跡はみつけられない筈だ。
いつ何があってもいいように気をつけていたのだから。
白い粉もそのままにしておく。後であの引きこもりが回収に動くだろう。
シロが入っているバッグを持ち上げ、財布だけを持って駐車場へ行く。
トランクにバッグを乗せ、自身は運転席へ。
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