第1章

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 子どもにシロと名を付け、一緒に暮らし始めてそろそろ1ヶ月になる。 「はい、クロ」 「ありがとう」  マグカップを受け取り、口を付ける。  シロはまた猫を抱き上げて、ベッドに座った。  誰かがシロを捜索している様子もない。  動くなら今だ。 「金はあるし、多少家賃が高くてもいいところにする」 「クロ、ごめんね。引っ越すのって僕のせいでしょう?」 「シロが気にすることは何もないよ」  パソコンを置いてあるデスクから離れ、俺もベッドへと座りシロの頭を撫でてやる。  そこへ突如としてドアがノックされ、宅配だと告げられる。  玄関へ行き、ドアを開ければ、大きな箱を抱えた宅配業者が立っていた。  荷物を受け取り、部屋の中へ運び入れる。  差出人が明記されておらず、中身も何だか判らない。  シロをちらとみやり、じゅうぶん警戒しながら荷を解いた。
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