十一節

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それから、湊が実家で親を説得し籍を入れたり抜いたりする話を聞いて俚乃の頭はまだ憑いては行けてなかったが… 「そうだ、まだ私は再婚出来ないから私だけまだ鍵谷の姓を名乗ってる」 そう父が言う。 既に離婚は成立して、母に俚乃が父に妹が付いて妹はこの先も鍵谷を名乗ると言っていたので父だけは後に佐藤の姓へと入るのだと聞いた。 それも全て… 「私の為に離婚しちゃったんだね」 「俚乃、私とお父さんはそれでも貴方を護りたいのこれは私が大変な思いをする訳でも無いし、戸籍が少し変わるだけで中身は何も変わらないのよだから安心して?」 その母の言葉に感謝をするしか出来なかった。 「本当はね、名前も一度だけ変える事が出来るんだよ…でもさ、親から貰った大事な名前だしそれはして欲しくなかったんだ…だから、姓を変えて俺も婿に入る事にした。 だから俚乃が謝る事は無いんだ」 「うん、でも感謝はするよ…皆さん本当に私の為にありがとう」 頭を下げれば父が椅子を立って俚乃を抱きしめた。 「心配するな、私らが護ってやれるのはここまでだが、松平君がきっと俚乃を生涯護ってくれる…だから俚乃、お前も松平君を護ってやるんだ」 「お義父さん、佐藤君ですけど?俺」 「あぁ、そうだったな…頼んだよ、湊君」 「はい」 そうして夜が更け、母と父は遠くから来ているので、同じ部屋に宿泊する事になった。 母と語らい父は湊と語らい、あっと言う間に就寝時間となりマネージャーも明日また来ると帰って行った。 彼も、湊と俚乃に付いて外国でマネージャーを続けるのだと聞いた。 湊も気心知れている方が良いし彼は、言葉に精通しているので通訳を頼む必要がなくなる。 湊も英語を勉強しないとだとウンザリしていたがそれは俚乃も同じ事。 二人で頑張ろうと言いながら、ベットへと入った。 「ちょ、湊」 「ん~?」 「声、出ちゃうからダメ」 「ん、解ってる…でも少しだけだから」 「ちょ、んっ…」 「いってぇ!」 湊の鳩尾に、俚乃の肘がクリーンヒットしてその日の夜は終わった。
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