~第一話~ 今生の、一重に潜む縁の根

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 或いは(おし)(先天的・後天的を問わず喋れない人間)なのかも知れないが、その言葉は誰にも届かない。  拒否感が漂う中、男の手が女の首を絞める。  突発性の扼殺なのか、手拭いすら使わないのは迂闊に過ぎた。  被害者の受ける苦痛は火事場の馬鹿力を生み、爪の間に皮膚片や肉片を詰め込む事が多い。  御多分に漏れず、女の指が男の腕を引っ掻く。  防御創と呼ばれる傷が、男の前腕に刻み込まれた。  しかし、やはり力は男の方が上。  舌を支える舌骨が折れ、気道を塞いだ。  ぐったりと力の抜けた女の体を木に寄り掛からせ、男は自らの褌を剥ぐ。  だらりと舌が垂れ下がった口へ猛り狂った棹を捩じ込み、腰を動かし始めた。 「うっ!!」  短い呻きと共に女の口中へ精を放つ。  それだけに留まらず裾と腰巻きを割り、意思の消えた女の足を広げて鎮まらぬ欲棒を突き込んだ。  先程、精を放った所為か。  男の行為は、先程よりも長い。  漸く終わったのが、小半刻ばかり経った頃。  それが済むと、男は用水堀らしい幅と深さの川へ女の体を投げ棄てた。 「へっ、これで極楽往生出来んだろ。なあ、売女」
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