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「それにしても大変だったね…………まさか祈ちゃんの部屋に来た【下着泥棒】に刺されるなんて…………」
……………………え? 下着…………泥棒?
半田店長の口にしたキーワードに一瞬我が耳を疑った。
堂島の事は知らされてないのか?
そう思い半田店長の隣の朱也さんに視線を向けるとわざとらしいウィンクを俺に向けて何度かしている。
これは……………………話を合わせろって事…………なのか?
「え、ええ…………まぁ…………」
サインを受けた俺は店長に曖昧に返答する。
「まぁ、傷が癒えるまでゆっくり休んでね? 仕事はちゃんと有給にしとくから………………それじゃあ僕はちょっと治療費の話をしてくるから失礼するね」
「ハイ、ありがとうございます…………」
「お大事に」
半田店長は軽く一礼してから部屋を出ていった。
すると、それに合わせて祈さんがそそくさとドアから顔を出し廊下を見る。
「……………………行ったか?」
「うん…………」
「??」
まるでスパイ映画みたいなやり取りをする朱也さんと祈さんを頭上に疑問符を浮かべながら眺めていると二人がベッドサイドへ近寄ってきた。
「歩…………咄嗟に話を合わせて貰って済まんな…………」
声を潜めた朱也さんが耳元で囁いた。
「いえ、それは別に良いんですけど…………どうして堂島の事隠すんですか?」
「実はなーー」
警察に逮捕させれば良いのにと思いつつ理由を訊ねた俺に朱也さんは昨日の出来事のその後を語った。
話を要約するとこうだ。
昨日俺が意識を失った後、朱也さんは俺が堂島に刺されたと蒼志さんに伝えに行ったらしい。
話を聞いた蒼志さんは錯乱して自分の部屋を無茶苦茶にして暴れたそうだ。
『全部俺のせいだ…………俺が堂島の狙いに気付いていれば歩は…………』
ひとしきり暴れ終わり脱力した蒼志さんは俺が刺されたのは自分のせいだと……………………自分の判断ミスが起こした事件だと自分自身を責めた。
その後、【ある決断】をした。
それは、今後俺達や身の回りの人間に害になる人間を俺達が影で暗躍して【破滅】させないかという提案だった。
堂島もどうせ警察に捕まっても牢屋で反省する人間じゃない。
ならば俺達がそれぞれの【特技】を生かして社会的に、時には肉体的に破滅させてやろうという提案。
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