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「人は絶望と出会うと死を望む………………そして、死を望んだは一人で悩み苦しみ、最期にはその望みを実行に移してしまう」
「……………………何が言いたい?」
俺の現状を的確に指摘する男の独り言が心を深く抉った。
「本当はまだどうにかなるのに何もしないまま死ぬのは余りにもくだらないと思わないかい、と聞いているんだよ?」
この台詞を聞いた瞬間、俺の脳内で何かが爆発した。
「うるせぇなぁ……………………」
俺の言葉に反応した男が上空から視線を落として俺の顔を澄んだ瞳で真っ直ぐに見つめた。
「ふざけんなよ!? 赤の他人のお前に何が解るんだよ!? 何もかも知ってるような口振りでゴチャゴチャぬかしやがって!!」
ーーーーーー。
感情が爆発してから俺は約一時間もの間、黙る男への一方的な罵倒を繰り返した。
「ハァ…………ハァ…………」
「全部吐き出せたかい?」
爆発した感情が燃え尽きるまで叫んだ俺へとあっけらかんとした声で告げた男はカフェオレの缶を差し出した。
俺はそのカフェオレを数秒呆れた顔で見た後、観念してそれを受け取った。
「うわ!? 冷てえ!!」
渡されたカフェオレは元々温かい物だったのかも分からない程によく冷えていた。
「おじさんさぁ、こうゆう時って普通は温かいの渡すでしょ?」
呆れた声で言った俺に男は笑顔で答えた。
「まぁまぁ、そんなに汗をかくぐらい叫んだんだから多分丁度良いと思うよ?」
「そうゆうもんかねぇ」
古くからの友達同士の様に自然と弾む会話に内心少し驚いたが、それに構わず男は立ち上がり俺に手を差しのべた。
「それじゃあ行こうか?」
「何処に?」
俺の当然の質問に男が無垢な笑顔で答える。
「今の君ならここ以外なら何処でも良いでしょ?」
「まぁ、それは間違い無いな」
俺は素直に男の手を取って立ち上がり男の後ろを歩いた。
その道中で飲んだカフェオレは男の言った通りに成る程、と思わず関心する程に叫んで乾いた喉を潤して上がった体温に丁度良く馴染んだ。
これが、約半年前の俺こと藍原 歩(あいはら あゆむ)と半田 恋太郎(はんだ れんたろう)とのファーストコンタクトだった。
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