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「和聡も来てたんだ…」
最近あまり行かなくなっていたCLUBのVIPROOMに入ると直ぐに、気付いた和聡の存在に。
オレが一番に視界に入れるのは、いつも決まって、和聡なのだと。
それを分かってか、それとも嫌がらせか。
和聡の眉間には、声を掛ける前からシワが寄っていた。
「なに?」
あんま、見つめないでよ。
にやけちゃうじゃん。
平静を装って声を掛け覗いた、和聡の綺麗な瞳…じゃなくて。
明らかに怒りを宿した、その瞳が。
「用がないなら、話かけんな…」
オレを睨みつけるだけで、体に一瞬電流が走ったみたいになる。
「わりぃ…」
だけど素直に謝ってみたって。
「悪い、じゃねーよ!何回謝ったら出来るようになるんだよ、お前」
和聡は許してくれない。
まるで、あの時と同じ。
だから
「だって……」
と、言い訳を続けようとして、やめた。
だって。言い訳をしたって、それも皆無。
和聡はオレの言葉に、もう耳を傾けてはくれないから…。
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