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放課後。
今日は一人で街をぶらつくことにした。
…退屈だな。
いた。シズが。
「いけないと思ったんだけど、ジュンのこと、探してた」
僕は、自分を抑えるのをやめた。
シズにキスした。
楽しかった。二人でいるのが。
街が、祭りのように活気づいてみえる。
僕らはその中を泳ぐように歩いた。
まわりが僕らを祝福している。
街の喧騒から離れた裏通り。
目的の店に向かうのに、僕らはそこを歩いていた。
いた。
ヒロミだ。
彼女の目から涙が落ちている。
彼女は僕の頬をビンタした。
そして、どこかに走り去った。
「ヒロミ…」
横でシズが頭を抱えている。
「どうかしたのか?シズ」
「ヒロミの記憶が…」
「ホントなのか?」
「彼女、私たちのクラスメイト。私と、ジュンのこと、とりあってた…」
僕の頭にもその記憶が蘇ってきた。
…ヒロミ。
僕は路地の真ん中に立ち尽くした。
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