第1章

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 もちろん、それはここの奴らは知らないけどな……知られるといろいろめんどいという理由で、この人もそれで了承している。 「それにしても、なんで、あなたの超能力は、この機械に認識されないの?」 「さぁな……んで、どうでもいいけど、母さん、また彼氏にふられたの?」 「ああ! また、私の心勝手に読んだでしょ! そんなあなたにはこうしてやる!」 「お、いててて! 分かった! 謝るからやめてくれ!」  この人のランクはBで、得意な超能力は、『念動力』でなんと手を使わずに、重さ100kgまで持ち上げられると言うから、化け物だ。  その能力を使って、現在俺の髪の毛を引っ張っている。  もちろん、威力は抑えてているとは思うが、痛いのには変わりがない。 「それで、宜しい! それにしても、あなたの超能力には、驚かせるわ! 認識されたら、絶対にA以上のものだと思うわ」 「おいおい、それは言い過ぎだろ」 「ううん、絶対にそうよ」  母さんは、そうは言っているものの、この超能力は集中力をとても使う。  少しでも乱れたら、この超能力は使えない。  それに、一日五回が限度のようで、それ以上使おうとすると、体が拒絶して激しい痛みが襲う。  調子に乗って、使いまくったら痛い目にあうという訳だ。   「俺には、母さんのような念動力や発火能力の方がかっこよくていいと思うけどな」 「『テレパシー』も十分凄い超能力よ! なかなか使える人なんていないんだから」 「はぁ……でも、地味だよな」  俺がそう言って、机にもたれながら愚痴のようにこう言うと、母さんはそれに対してこう言ってきた。 「いい? どんな、地味なものでも大きくなれば、目立つものよ」 「はいはい、そう信じておきますよ」 「あれ? 何処行くの?」  いつも通りの母さんの、発言に飽きた俺は、学校の鞄を持ちながら、この教室から出ようとした。  しかし、出ようとした瞬間止められたので、後ろを振り向きこう言った。 「ちょっと出かけてくるだけだよ……帰りは遅くなるかも知れないから、宜しくそれじゃあな!」 「あ……もう、しょうがない子ね」  俺は一言そう言って、この教室から出て行った。  ◇◇◇◇◇  空は夕焼け色に染まっており、もう時間帯は夜に近付いていた。  その中で、俺は一人で歩いており、通り行く人々を避けながらある場所に向かって行った。  目にはいるのは、発達した時代の景色。
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