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「おい、やめろよ!」
気付いたら、俺はここに来てしまっていた。
あんなに、心の中で思っていたのに、この場に飛び出してしまったのだ。
俺は、水上のことを睨みつけながら、こう言ったが、水上はこちらを振り返り、そんな俺に対してこう言う。
「は? お前、俺のクラスの荒田って奴だろ? どうして、こんな場所にいるんだ?」
「いいから! 離せよ! あいつが苦しんでるだろ!」
「ああ、あのゴミか……いいぜ、返してやるよ」
すると、水上は壁に縛り付けている加賀美を俺の方向にと飛ばしてきた。
俺はその加賀美の体をしっかりと受け止めて、近くで無事を確認した。
よかった……そんなに怪我はしてない。
気絶はしていたが、命には別状はなかった。
「ふん、確かお前は俺の、クラスの荷物のEランクの奴だったよな? ははは! こりゃ傑作だぜ! ゴミがゴミを助けるなんてよ」
「水上……お前は、誰にでも優しい奴だったんじゃなかったのか?」
「そうさ、でもそれは表の俺、裏ではこんな俺なんだよ、分かったか? Eランクのゴミ」
ぐ……この野郎。
それじゃあ今まで俺達に見せていたのは、猫を被った水上だったということか。
くそ、うかつだった。
こいつのことは、信じていた。
だから、俺はこいつには自分の力を使わずにいたのに。
「というわけだ、そこの使い捨てのおもちゃにはもう用がない、次は……お前だ!」
「ぐ! 嘘だろ」
水上は、そう言うと、突如俺の周りに風が発生した。
なんだ、この風? くそ、動けない。
その風は、みるみるうちに俺を囲い込み、どうすることも出来なかった。
「まずは、俺の超能力をくらいやがれ!」
水上が手を上空に上げると、その瞬間俺の体は、上空に飛び上がった。
どうやら、発生した風によって、俺の体は持ち上げられてしまったようで、かなり高くまで俺は持ち上げられた。
やばい……このままだと、下に落ちてしまう。
この高さから落ちたら、間違いなく骨折どころでは済まない。
しょうがない、こうなったら……あれを使うか。
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