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「ふぅ……なんとか、逃げられたようだな」
俺は息をきらしながら、走ってこんなことを一言つぶやいた。
あのとき投げた物は、『電気網』(サンダーネット)と呼ばれる物で、主に護身用として発売されているものだ。
形は丸い形で、地面に投げるとそこから、黄色い、くもの巣みたいな網が出てきて、同時に強烈な光も発生する。
それによって、俺は水上の攻撃を防げられたし、あの場から逃げられたというわけだ。
あれだけの、超能力者だ。
普通の超能力では、まず相手にならない。
だから、意表をついたまでのこと。
多分、水上は自分の力に自信を持っているだろ。
だが、それは俺にとってのチャンスだった。
まさか、Eランクの俺にSランクの自分が、負けるはずもないし逃げられることなんてない。
「甘いな、何もかもが」
俺はこう言いながら、一人で笑っていた。
このままいけば、この路地裏からも抜けられる。
そうなれば、もうこっちの勝ちのようなものだ。
しかしそう思ったときだった。
「お前こそ、甘いんじゃないの? ゴミ」
「……! やっぱりそう簡単には逃げられないか」
すると、もう路地裏を抜ける寸前のところで、上空から水上が自ら作った風にのって俺を見下していた。
「さっきは、あんなゴミの考えそうな作戦に、はまってしまったが、今度はそうはいかないぜ」
「いや、なかなかうまくはまってくれたな……見えたぜ、お前の焦っている顔」
「……どうやら、命だけは助けてやろうと思ったが、変更だ! お前ら殺す!」
俺の発言に対して、完全に水上はきれたようだ。
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