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カン カン
再び足音が響くと、その足音は徐々に遠ざかって行った。
(………………助かったあああ………………)
足音が止まっていたのは ほんの束の間だったが、玲二には長い長い時間に感じられ、疲弊した玲二は身体の力を抜いて脱力する。
(……ふう……って、休んでる場合じゃないってば! 早く電気を止める物を見つけなくちゃ!)
力と気合いを入れ直した玲二は鉄の箱から出て、床に足を音を立てないよう静かにつける。
(よいしょ……さて、次はっと……)
出ていく前に、さっきは慌てて隠れたのでロクに探索していない物置部屋をキョロキョロと見渡す。
物置部屋だけあって鉄の箱や作業台、工具などが乱雑に置かれており、それら全てが錆びていたり一部分が欠けていたりしている。
特に目新しい物も、妙な物も無い。
だが、大きな箱に隠れて見えにくい扉が壁についていることに気づいた。
(扉だ……)
玲二は慎重に扉へ近づき、扉の前にある鉄製の箱を押して退かせると、ドアノブを捻った。
鍵は掛かっていなかったようであり、キイイと音を立てながら少し錆びている扉が開かれる。
扉の先の部屋は一際広く、何も物が置かれていない。
その広い部屋の奥で不自然に揺らめく青い光が見え、玲二が目を細めるが、遠すぎて光の正体がハッキリ見えない。
(何だろう)
青い光が気になった玲二は部屋に入り、静かに扉を閉める。
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