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(これさえ止めれば…………だけど、この炎……やっぱり熱いのかなあ?)
そっと右手で炎に触れようとするも、指先が触れる直前に熱を感じ、即座に手を引っ込める。
(や、やっぱり本物の炎なんだ……!)
本物同様の熱さに躊躇する玲二。
だが、このレバーを引かなければ誰も助からない。
それに炎を消すような道具も無ければ探している暇も無い。
レバーを引くには、この燃え盛る青い炎に手を入れて掴むしかないのだ。
(……兄貴の信頼に答えるんだ……!)
服の袖を二の腕辺りまで捲り、ゴクリと唾を飲んでレバーを睨みつける。
(……いち、にの…………さんっ!)
覚悟を決めて、玲二は両手を青い炎の中に突っ込んだ。
「うわああああぁぁああぁああっ!!」
ジリジリと肌を焼き、焦がしていく激痛に悲鳴をあげるも、レバーから手を離さない。
「くううぅっ!!」
脂汗で顔をびっしょり濡らしながら、玲二は必死にレバーを引き続ける。
既に彼の手の皮膚は所々が黒く変色し、一部分が焼け落ちていき、皮膚を失った箇所からはザクロのように真っ赤な肉が顔を覗かせている。
あまりの痛みに意識を手離しそうになるが、気絶なんかしていられないと――してしまったら全てが終わりだと、気を強く持って耐える。
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