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(…………もしも、神様が居るのならっ……!)
脂汗と涙でグチャグチャになった顔で、玲二が天を仰ぐと、ガタッとレバーが音を立てた。
「オレは どうなってもいいから…………兄貴と鈴ちゃんを、助けて下さいっ!!」
その言葉を言い終えると同時にレバーは引き倒され、玲二は勢いそのままにレバーから手を離して、仰向けに倒れこんだ。
「ハーッ……ハア、ハア……」
玲二がレバーを引いて数秒後、部屋を照らしていた照明から光が消え、部屋が闇に覆われた。
どうやら玲二の予想通り、このレバースイッチこそが大神が仕掛けた小細工だったようだ。
「……やっ、たよ…………兄貴………………」
使命を やり遂げて気が緩んだのか、玲二は弱々しく呟くと目を閉じて、深い闇の中へと意識を沈めた。
「………………」
その一部始終を見ていた大神は、先程までの狂人じみた笑みから一変、何の感情も見えない無表情となっていた。
「……ゲームクリア、おめでとう」
つまらなそうに呟き、もう玲二に興味は無いとばかりに大神は踵を返し、この場から立ち去るのであった。
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