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ゲートを潜った先は、玲二が倒れている大きな部屋だった。
「佐々木……!」
気を失っている玲二に駆け寄ろうとするも、右足が思うように動かず、一瞬 転びかける黒斗。
(…………やはり、右足の損傷が激しいな……完治には しばらく かかりそうだ)
右足を引き摺るようにして玲二の側に寄り、片膝をついて彼を揺さぶり起こす。
(……負傷は肩と手の火傷か……火傷は一見、重傷に見えるが そこまで酷いモノではないな。炎が弱かったお陰か……)
玲二のケガを確認した後、青い炎に包まれているレバースイッチに視線を移す。
「……う~ん……」
呻き声が聞こえ、視線を落とすと玲二が目を うっすらと開けていた。
「………………兄貴……? あれ、オレ……どーしたんだっけ?」
意識が戻ったばかりで朦朧としているのか、黒斗の顔を見たままボーッとする玲二。
すると数秒後、目を大きく見開くと同時に飛び起きてカサカサカサと虫のような動きで黒斗と距離をとった。
「ギィヤアアアアアアア!! 兄貴の亡霊だああああ!! 兄貴が化けて出たあああ!!」
「……………………」
シリアスなど殴り捨てたかのような玲二の反応に、黒斗は苛立ちを通り越して呆れを感じる。
ある意味いつも通りというか愚鈍というか――安定の玲二に黒斗は近付き、拳骨をお見舞いしてやる。
ゴツンと小気味いい音の後に玲二が痛そうに頭を押さえた。
「誰が亡霊だ……このバカが」
「ふえ…………足、ちゃんと ついてる………………うええええぇ!?」
素っ頓狂な声と同時に、玲二が黒斗の身体をベタベタと触りだした。
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