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「兄貴、大丈夫なのっ!? ていうか、もっと酷い傷じゃなかったっけ!? えー!? ええー!?」
目が覚めたばかりの割りに、やたらとテンションが高い玲二に疲れたような表情を浮かべる黒斗。
あまりにも うっとうしいので玲二の頭を掴んで引っぺがし、溜め息を吐きながら彼の疑問に答える。
「……さっきのアレは竹長を油断させる為の演技だ……実際は この通り、大した傷じゃなかった」
「そ、そうなんだーっ!! さすが兄貴! 演技力バツグン!」
尊敬するようなキラキラとした目で黒斗を見つめる玲二。
素直なのは彼の利点だ。
「それよりも橘だ。橘が居た場所に案内してくれ」
「あ、うん!」
移動の前に黒斗は羽織っていたジャケットを玲二の肩に巻いて止血し、改めて部屋を出ていった。
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