Episode 8 復讐

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数分が経過して、ようやく落ち着いた鈴は黒斗と玲二から体を離し、涙を拭って2人の顔を交互に見た。 「ご、ごめんな……感極まってもうて……」 涙で腫れた目と、冷静になって恥ずかしくなったのか頬を赤らめて俯きながら鈴が呟くと、玲二も笑いながら紅潮している頬を掻いた。 「…………それに…………ウチのせいで…………クロちゃんとレイちゃんにケガさせてもうた……」 罪悪感からか鈴の目に涙が滲みだす。 別に鈴が2人にケガをさせた訳でもないし、鈴自身も さらわれて怖い思いをして、恵太郎に蹴られて頭に傷を負っている被害者である。 だが彼女は自分を助けに来たせいで、2人がケガをしてしまったのだと自責の念に駆られているようだ。 「…………お前も佐々木も自分を責めたがる奴だな……助けに来たのは俺達自身の意志なんだ、お前が気を病むことは無い」 そう言って黒斗が笑うと、玲二も歯を見せてニッコリ笑って黒斗の肩に手を置いた。 「兄貴の言う通りだよ鈴ちゃん! それに大したケガじゃないし! 鈴ちゃんが無事に助かって、オレらも嬉しいんだよ!」 「………………2人が友達で、ウチ……本当に良かったわ……助けてくれて、おおきにな……」 涙を拭って笑う鈴。 だが、その笑みは彼女が俯くと同時に消えてしまう。
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