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「…………なあクロちゃん…………ケイちゃんは……?」
「……………………」
鈴の問いに黒斗は言葉を詰まらせるが、やがて口を開いた。
「……竹長は死んだ…………死神に……殺された」
「死神っ!? まさか大神くんが……」
「顔は仮面で隠れて見えなかった。だが雰囲気的に大神ではないと思う」
「……そうなんか……でも……誰であってもケイちゃんが死んだことに変わりは あらへん……」
ガックリと肩を落とす鈴。
「……ケイちゃん……もう おかしくなってたから、前みたいに仲良くは出来なかったかもしれへん…………だけど…………死なないでほしかった……生きててほしかった……!」
肩を小刻みに震わせながら鈴が言った重苦しい言葉に、黒斗と玲二は何も言えない。
特に黒斗は罪人ではあったが、鈴の友人である恵太郎を殺したことに背徳感も感じていた。
(……すまない橘…………だが、これが……俺の信念なんだ……)
心の中で鈴に謝罪する黒斗。
すると、不意に鈴が顔を上げて目が合った。
「あっ……ご、ごめんな2人とも……暗い雰囲気にして…………ほな、帰ろか! ケガの手当ても せなアカンし!」
「う、うん……そうだね」
何となく気まずい雰囲気のまま、3人は工場の出口を目指して歩きだすのだった。
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