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「…………アンタが何を考えてるかは分からんし……分かりたくもあらへんわ……!」
冷たい口調で言い切り、鈴は黒斗へ視線を落とす。
「クロちゃん…………クロちゃん! しっかりしてや!」
「そ、そうだ……救急車っ!!」
慌てて玲二は携帯を取り出し、素早い動きで番号を打ち込んだ。
「クロちゃん!! クロちゃんっ!!」
(………………橘………………)
号泣している鈴を安心させたいのに、身体どころか指先さえもビリビリと麻痺しているように痺れて感覚が無く、動かせない。
声をかけようにも、喉は炎を押し当てられているように熱く痛み、流れた血が乾いて付着している唇も動かない。
普段は暗闇ならば瞬時に傷を回復できる黒斗だが、デスサイズによって受けた傷は回復せず、容態は悪化していく一方である。
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