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(………………意識が…………遠く…………)
目が霞み、目の前に居る鈴の顔がボヤける。
意識も朦朧としていき、睡魔に近い何かが襲ってくる。
(………………これも、神でありながら……人間の世界に深く関与した……俺への罰、か………………)
無意識のうちに瞼が下がり、黒斗の赤い瞳が隠されていく。
ボヤけて瞼に覆われる視界の中、鈴が必死に叫んでいるようだが、もう彼女の声は黒斗に届いていない。
(…………………………おかあ…………さ、ん…………………………)
脳裏に大切な人の姿が過ると同時に、黒斗は深い眠りに落ちていった。
「クロちゃん!! イヤ、イヤやっ!! お願いやから……死なないで…………居なくならないでええええっ!!!!」
大粒の涙を流しながら鈴が叫ぶが、黒斗が目を開けることは無かった。
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