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「……さあ、力を試してごらん」
【西園寺組(さいおんじぐみ)】と書かれた大きな看板が付けられている和風の屋敷の前に、2人の少年が立っていた。
1人は黒いコートに身を包んだ茶髪の青年――大神。
そしてもう1人は、両足をしっかりと地に付けて仁王立ちをしている恵太郎。
「…………」
恵太郎は己の右足を見下ろした後、深く息を吸いこみ顔を上げる。
吸い込んだ息をゆっくりと吐き出し、ゆっくりと門に向かい、握り拳でノックする。
「何もんだ!?」
数秒の間があった後、門の向こうからドスの利いた若い男の声が聞こえてきた。
「…………」
男の声には応答せず、恵太郎は無言のままノックを続ける。
「あんだゴラア!? 返事ぐらいしろやあ!」
門を開いて現れたのは、和服を着込んでいる小物臭が漂う男。
彼は恵太郎の存在に気づくと、怪訝な表情をして恵太郎を見下ろした。
「んだあ? ガキじゃねーかよ! お前、ここが西園寺組だと分かってんのか? あぁ?」
両手を腰に当てて、バカにするようにニタニタと笑う男。
相手が子供だと思い、完全に油断している状態だ。
そんな男の右肩を恵太郎はガシッと掴む。
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