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「気安く触ってんじゃねえぞゴラア! ぶっ殺されてえのか、ああ!?」
唾を飛ばしながら怒鳴りつける男を無視して、恵太郎は肩を掴む手にグッと力を込める。
すると――
グワシャッ
生々しい音と共に、男の掴まれている肩から、握り潰されたトマトのように血と肉が飛び散った。
「ぐぎゃああああぁぁあっ!!!!」
突然の激痛に唾液を流しながら悲鳴をあげる男。
彼の周囲には鮮血と、潰れた際に飛び散った赤黒い肉片が散らかっている。
「……脆いなあ、鍛え方が足りないんじゃねえ?」
淡々とした様子で呟くと、恵太郎は男の肩から手を離し、顔についた返り血を乱暴に拭った。
一方、解放された男は力無く地べたに倒れこみ、パニック状態になりながら潰れた肩を押さえている。
「ぎっ、ひ……ひぃ……!」
ガタガタと震える彼の頭を、恵太郎は躊躇(ちゅうちょ)なく踏み潰す。
グチャリと潰れた顔からは眼球や歯が勢い良く飛び散り、顔から足を離した恵太郎は飛び散ったソレらを蹴飛ばしながら門を潜って中に入った。
「な、何だテメエは!」
屋敷の中に侵入した恵太郎が廊下を歩いていると、数人の組員達が姿を現した。
各々の手には刀や拳銃など得物が握られている。
普通の高校生ならば、極道の気迫や得物に怯えるだろう。
だが、恵太郎は複数の極道から殺気を一身に受けても怯える所か、これから起きるであろう血生臭い争いに心が浮きだつのを感じていた。
もはや彼は“普通”ではなくなっていたから――
「ククッ……」
不意に吊り上がる恵太郎の口角。
「アハハハハハ、ハハハハハ!!」
腹を抱えて笑いだす恵太郎に、思わず組員達は怯んだ。
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