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「なあ、今どんな気分?」
ニッコリと笑う恵太郎を見た途端に激しく痛む腹。
「が、はぁ……」
呻き声と共に、赤黒い血が口から零れる。
「キサマアアァ! 兄貴を離せええ!」
発狂した組員達が恵太郎に向けて銃を発砲する。
しかし恵太郎は腕を突き刺している男性の身体をグイッと引いて移動させ、彼を盾にして後ろへ隠れた。
それによって恵太郎を目掛けて撃ち出された弾丸は男性が全て受け、無数の風穴が開けられた彼の背中から溢れ出た血液がネズミ色だった和服をドス黒く染め上げた。
「あ、兄貴がっ!」
「このクソガキめ!」
「何と卑劣な!」
男性を盾にされた組員達は、拳銃を降ろして恵太郎を罵った。
大量の出血、そして力無く項垂れる首の様子から男性が既に死していることは明らかだったが、例え死体となっていても彼らには尊敬する兄貴分を傷つけることなど出来なかった。
「この腐れ外道! 兄貴を離せ!」
刀を持ったまま叫ぶ若い男。
「……分かったよ、離してやる」
醜悪な笑みを浮かべながら、恵太郎は男の遺体から腕を引き抜き、解放した遺体を組員達に向けて突き飛ばした。
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