658人が本棚に入れています
本棚に追加
/995ページ
時同じく、裏路地にて
「ぐあっ!」
清菜に吹き飛ばされてコンクリートの壁に叩きつけられた黒斗は、そのまま背中を壁に預けたままズルズルと床に座り込んだ。
「ハァッ……ハッ…………クソ……動きが読めない……!」
ぐにゃぐにゃとした動きとは裏腹に、高いスピードとパワーを兼ね備えている清菜の肉体を忌々しそうに睨みつける。
酒に酔った人間のような千鳥足でフラフラと動きまわる彼女の動きは予測不能であり、黒斗は上手く彼女の攻撃を避けることが出来ないでいた。
さらに厄介なことに清菜から受けた傷やダメージは治りが異常なまでに遅く、最初に傷を負った脇腹でさえ未だに傷口が塞がっておらず血が流れているままなのだ。
(……身体は人間だ……1度でもダメージを喰らわせれば勝機はある……今は耐えて隙を見つけるんだ……!)
ダメージが蓄積されていくことによって黒斗の動きも鈍り、防御を するだけでも精一杯で攻撃を行う暇が無いという不利な状況の中でも諦めずに清菜の隙を窺う黒斗。
すると清菜が左手を振りかぶりながらフラフラとこちらに走ってくるのが見え、黒斗は立ち上がって壁から離れつつ、デスサイズを身体の前に構えて防御の姿勢をとる。
その時――
「ふせろ」
「……っ!?」
背後から男の声が聴こえると同時に魔力を感じ、咄嗟に黒斗は言われた通りに素早く頭を伏せた。
すると直ぐ様 彼の頭上を魔力によって作り出された矢が横切り、そのまま清菜の心臓部に矢は突き刺さり、彼女は破裂した水道管のように大量の血を噴き出しながら仰向けに倒れこんだ。
最初のコメントを投稿しよう!