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「………………」
恐る恐る伏せていた頭を上げ、背後を見やる黒斗。
その視線の先にはゲートが開いており、数秒の間が あった後、短く切り揃えられた赤い髪を持つ男が そこから姿を現した。
現れた男は黒斗の顔を見ると、髪と同じ赤色をした瞳を細めて笑いつつ、口を開いた。
「久しいな……タイプζ(ゼータ)ナンバー4……テトラ」
男の言葉を聴いて、無表情を装う黒斗の眉がピクリと動く。
見覚えのある――忘れようにも忘れられない顔。
もう2度と会うことはないと、そして会いたくもないと思っていた者。
嬉しくない再会を果たした黒斗は、挨拶がわりに目の前に立つ赤髪の死神を鋭い眼光で睨みつけてやる。
「……生きていたのか…………ウンデカ」
冥界で失敗作の死神を処分する監獄の管理を任されていた死神。
黒斗を人間界へと逃がした死神。
そして黒斗と同じく、心を持つ失敗作の死神。
黒斗の言葉を聴いたタイプα(アルファ)ナンバー11――ウンデカはフン、と鼻で笑った後、ゆっくりと口を開き そして――
「……お前を、迎えに来た」
大神は鈴に、ウンデカは黒斗に それぞれ こう言って、片手を差し出した。
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