658人が本棚に入れています
本棚に追加
/995ページ
「うおわっ!」
全身から力が抜けている為に重たい遺体を受け止めた組員達がよろめき、腕が刺されていた腹部を見て全身から血の気が引いた。
大きく開いた穴からゴポゴポと噴き出す血と、ちぎれた肝臓を始めとする臓器の一部。
嫌な予感がした彼らは視線をゆっくりと恵太郎に移していく。
視線の先で立っていた恵太郎の右手には、赤い血が滴り落ちる ふっくらとした胃袋が握られていた。
「ククク…………」
臓器を片手に笑みを浮かべる恵太郎は、人の皮を被った悪魔にしか見えない。
「全員、死んじまえ」
恵太郎が一歩踏み出すと、大量の鮮血が辺り一面に飛び散った。
数分後
血と肉が混じった赤黒い水溜まりを踏みつけながら、恵太郎は屋敷の出口に向かって歩いていた。
全身が真っ赤に染まっている彼の右手には、白目を剥いて薄く唇を開いている初老の男性――西園寺組の組長の首が抱えられている。
「……これなら、勝てる…………これなら、アイツに勝てるっ!! 兄ちゃんの仇がうてる!! ヒャハハハハハハ!!」
狂ったように笑いながら、恵太郎は屋敷を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!