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「……ハァ」
学校への登校中、1人で歩いていた玲二は疲れたように溜め息を漏らす。
首を吊ったあの日――病室で復讐感に駆られてからは黒斗や鈴とロクに話が出来ていない玲二。
別にケンカをした訳でも、確執がある訳でも無い。
しかし、何処か気まずくて顔を合わせることも出来ないのだ。
今の自分ではあの2人と一緒に居られない、居てはいけないとさえ感じている。
(…………こんなオレじゃ……兄貴と鈴ちゃんと一緒に居られる価値が無い……何も無い、空っぽで弱いオレじゃ…………)
確固たる意思を持ち、強さを持っている黒斗。
真面目で優しく、正義感が強い純粋な鈴。
それに引き換え自分は、大好きな絵も描けない、将来の夢もない、取り柄もなければ、周りに流されてウジウジ悩んでばかりの面倒臭いヤツ。
あの立派な2人の側に居られる価値など何処にあろうか。
落ち込む度に自分を責めて、自分を責める度に落ち込む。
この悪循環から抜け出すことも出来ずに、今日も玲二は1人で悩み、落ち込む。
周りはしっかりしているのに、自分だけどうしてダメ人間なのだろう。
劣等感が消えない。
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