3.

5/6

59人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
俺は、額を手で覆ったまま尋ねる。 「…今回の目的は何だ? トマのウィルスを彼らに感染させるなんて、ただの殺人じゃないか。」 すると、加賀が声を潜めて言った。 「死ななかったら?」 俺は驚いて顔を上げる。 加賀が、俺を見つめて話しを続けた。 「あの子供達だが、トマと接触して1週間経つのに生きてるんだ。 発熱はあったが、出血しなかったんだよ。 ただ、細胞の損壊とは違う変異も起きている。」 恐かった。 でも、俺は耳を塞ぐ訳にはいかなかった。 ここで働いている以上、知らぬ存ぜぬでは済まされない。 加賀が深呼吸し、意を決したかのように告げた。 「肉体変貌が進行してる。 きみが望むなら、非正規に見せてやるよ。」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加