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俺は、額を手で覆ったまま尋ねる。
「…今回の目的は何だ?
トマのウィルスを彼らに感染させるなんて、ただの殺人じゃないか。」
すると、加賀が声を潜めて言った。
「死ななかったら?」
俺は驚いて顔を上げる。
加賀が、俺を見つめて話しを続けた。
「あの子供達だが、トマと接触して1週間経つのに生きてるんだ。
発熱はあったが、出血しなかったんだよ。
ただ、細胞の損壊とは違う変異も起きている。」
恐かった。
でも、俺は耳を塞ぐ訳にはいかなかった。
ここで働いている以上、知らぬ存ぜぬでは済まされない。
加賀が深呼吸し、意を決したかのように告げた。
「肉体変貌が進行してる。
きみが望むなら、非正規に見せてやるよ。」
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