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何が起きているのか、科学者や医師は首を捻るばかりだ。
でも俺はウィルスと同じくらい、この施設の人間達が理解出来なかった。
まるで、好奇心旺盛な子供が、どんな結果が出るかわくわくしながら実験を試している様に思えた。
もし、そうでないなら、全ては陰謀だろう。
トマの働いていた研究所で事故が起きたのも、得体の知れない未知のウィルスを意図的にバラ撒いた可能性だってある。
この施設も、医療の発展と言う大義名分を振り翳して置きながら、実は生物兵器の製造が目的であっても今更驚かない。
トマは懺悔の気持ちからか、子供達に愛情を注いでいる。
奇形の彼らを抱き締め、キスし、膝に乗せて本を読み聞かせ、一緒にゲームを楽しむ。
甘えん坊な子は、ベッドにも入れてやっているようだ。
トマは決して幸せではないが、孤独からは解放された様に見えた。
そんなトマも、俺が現れると途端にこちらにやって来る。
そして、俺との時間を楽しむ。
俺とトマはガラスに肩を凭れ、色んな話しをして笑い合った。
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