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防護服に身を包んだ職員達が現れ、部屋に入って来る。
そして俺の腕を掴み、トマから引き剥がそうとする。
俺は暴れ、狂ったように声を上げた。
「やめろ!彼に近寄るな!
冬麻!
目を開けてくれ!」
俺は無理矢理隣の自室に押し込められ、ドアは施錠されてしまった。
何度も扉に体当たりし、トマの名前を呼んだが、彼の遺体は厳重に密封され、外に運び出された。
我に返ると、床に座り込んだ俺の周りに、子供達が集まっていた。
俺は彼ら1人1人を見た後、ぽつりと呟いた。
「さよならだ。
俺も、トマの所に行くよ。」
すると、背中に瘤のあるカイが、俺に抱き付いて言った。
「ちづる、置いてかないで。」
「ちづる。」
「ちづる。」
みんなで俺の名前を呼び、置き去りは嫌だと泣く。
俺は…。
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