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その時、子供達が集まって来て、小山を取り囲んだ。
俺にとっては未だ見慣れない光景だ。
奇形と言うには余りに異形過ぎた。
俺の目には、彼らが人間かどうかさえ判別出来なかった。
しかし小山は子供達に抱き締められると、安心して身を委ねた。
まるで、護られているかのように。
背中が異様に盛り上がった子供が、俺を見て言った。
「ダメ。」
「え?」
「ちづるを苛めないで。」
「…俺は、彼を苛めてなんかいないよ。」
すると、体の皮膚が鱗状に変異した女の子が、足を引き摺りながら俺の方を向いて言った。
「トマを連れて行っちゃったでしょ?
だから、ちづるは悲しいの。」
この子供達には、死の概念が無いのだろう。
況して、俺が遺体を運び去った訳でも無い。
だが、そんな事を説明しても、ただの言い訳にしかならないのだ。
だから黙っていると、両腕が長く伸びた男の子が、ゆらりと俺を指差した。
爪の先がガラスに付いて音を立て、俺は思わず後退る。
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