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それなのに、俺は今、地下研究所にいる。
来てからもう1週間経つ。
スマホは没収され、指定の制服(下着から白衣に至るまで)に身を包み、通行証のパスが利く区域のみを行き来して仕事をし、夜は自室で眠りに就く日々だ。
普通なら、脱走や反乱を考えるだろう。
でも俺は、以前とそう変わり無い生活に適応しつつある。
俺に与えられた仕事は今までの延長のような実験だったし、充分な休憩と栄養管理された食事、シャワールームの付いた部屋まで提供され、ベッドもふかふかだった。
テレビやDVDは見放題、音楽も聴ける。
施設内にはスポーツジムや娯楽室があり、他の研究員達と気軽に会話も楽しめる。
それも強制ではないから、誰にも関わりたくなければ自室に籠もるのも可能だ。
部屋の簡易キッチンで袋麺を茹でて食う事も出来るし、冷蔵庫を開ければ、俺好みの炭酸飲料だって用意されている。
前の生活より良くなったと言っていい。
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