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扉が開いた。
そこに。
そこに、小山がいた。
背中には、あの足の悪い女の子を背負っている。
周りには異形の子供達。
みんなで何かを運んでいる。
ビニールシートに包まれているのは、あれは、きっと。
トマ。
「小山!」
俺は無我夢中で叫んでいた。
小山と子供達が一斉にこちらを見る。
その途端、俺は息が苦しくなって膝を付いた。
まるで、見えない手で首を絞められているようだった。
「やめなさい、リオン。」
小山が淡々とした口調で言う。
途端に、俺は呪縛から解放された。
何が起きたんだろう?
俺は四つん這いの格好で顔だけ上げ、彼らを見る。
直ぐに分かった。
頭蓋骨が異常に隆起した子供が、薄い目で俺を睨み付けていた。
彼から電流のような物が流れて来る。
それは、威嚇だった。
…この子がやったんだ。
小山が、何事も無かったように子供達を促して岬の方に向かって行く。
俺は体がガクガク震えていたが、声を振り絞って叫んだ。
「きみに会いに来たんだよ!」
小山がゆっくり振り返る。
そして、俺に向かって手を差し出した。
俺は、彼に応えるようにその手を掴んだ。
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