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池の縁に腰掛けているのは、腕が伸びた男の子。 彼はその両腕をしなやかに動かし、不思議な色の空気の輪を作っては飛ばす。 人魚が勢い良くジャンプし、彼の作った輪を潜る。 それを見て、頭蓋骨の変形した子供が大喜びして手を叩く。 リオンだ。 でも、今の彼の頭頂部は隆起が治まっていた。 その代わり、鹿のように美しく枝分かれした角が彼の頭を飾っていた。 不意に、空気が変わった。 甘く優しい香りが漂い、何者かが現れる予感があった。 俺は小屋の外に立ち、背後の森からこちらにやって来る1人の青年を見つめる。 「…トマ。」 「久し振りですね、加賀さん。」 トマがにっこり笑う。 彼は全裸で、輝きに満ちていた。 全身は赤く、片目も失っているが、俺が今まで会ったどの人間より美しかった。 俺はもう、溢れる感情を抑え切れず、声が上擦るのも構わずに尋ねた。 「小山は?彼はどこだ?」 「大丈夫。彼はあそこにいます。」
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