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ウィルスに、そして俺達の細胞1つ1つに思考や感情が宿っているかは分からない。
でもトマは彼らと対話して生還し、子供達も共存を許した。
そして小山も。
いや、小山はきっと、トマと生きたかったのだ。
だから彼らを受け入れた。
俺は、誰も知らない無人島に向かっている。
持ち前のジャーナリスト魂で、小山がどんな変貌を遂げたか確かめずにいられない。
まあ、最初から発信するつもりは無いから、ジャーナリズムの意に反してはいるが。
俺はどんな衝撃を受けるだろう?
ああ、そうか、と余裕で彼と肩を叩き合うのかもしれない。
そして、俺自身は何を決断するだろう?
俺は揺れる小舟の舳先に座り、陽に焼けた船頭が歌う南国の民謡を聴きながら、胸を躍らせて微笑した。
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