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食堂でチキンカレーを食べていると、隣に加賀(かが)が腰を下ろした。 彼はベジタリアンで、肉抜きのカレーだ。 「小山さん、トマに会いましたか?」 「ええ…。」 俺は辺りを見回す。 誰に忠告された訳では無いが、この話題は口にしてはいけない気がした。 加賀は俺の様子に気付き、ぽんと肩を叩いて言う。 「遠慮は無用ですよ。 だってここは、世の中から隔絶されていますから。 俺達は外に出れないし、外界との通信手段はあっても受けるだけ。 何を話そうが、ここから洩れる事は無いんです。 それが最重要機密でも。」 俺は、彼の言葉にどきっとした。 『最重要機密』。 この施設の存在を隠し、密かに研究を続けている理由が『トマ』なのだ。 彼は未知のウィルスの宿主となってしまった感染者で、唯一の生き残りだった。
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