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頭から早瀬さんのことが離れず、気になって仕方ないから。
一体どうしてしまったのだろう。
わたしは七味がたっぷり入ったお味噌汁をかき混ぜながら、またぼうっと考えていた――
昼食をとり終えて社内の通路を歩いていると、後ろから「友田さん!」と声をかけられた。
立ち止まって振り返ってみると、軽く走ってきた北原がわたしの隣に並ぶ。
そして流れるように歩き出したから、わたしも自然に足を動かした。
相変わらずの童顔。
でも背はわたしより高い。見上げると北原はこちらを向いていて、なにかを考えているようだった。
「……なに?」
「あ、いや、最近友田さん、変だなって」
「変ってなによ。失礼ね」
「もちろん見た目のことではないです」
「見た目が変だなんて言ってきたらあなたの足を思いっきりヒールで踏んでるわよ」
「はは、恐い恐い」
つんとしたわたしの態度に北原は一度視線をそらして笑い、またこちらを見た。
「俺、心配してるんですよ友田さんのこと」
でた。北原はなにかとわたしにそういうことを言う。
それに、確か先週は『可愛げがない』と言われたんだっけ。
思い出したわたしは顰めっ面になり、北原を見た。
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