◆2

3/30
591人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
頭から早瀬さんのことが離れず、気になって仕方ないから。 一体どうしてしまったのだろう。 わたしは七味がたっぷり入ったお味噌汁をかき混ぜながら、またぼうっと考えていた―― 昼食をとり終えて社内の通路を歩いていると、後ろから「友田さん!」と声をかけられた。 立ち止まって振り返ってみると、軽く走ってきた北原がわたしの隣に並ぶ。 そして流れるように歩き出したから、わたしも自然に足を動かした。 相変わらずの童顔。 でも背はわたしより高い。見上げると北原はこちらを向いていて、なにかを考えているようだった。 「……なに?」 「あ、いや、最近友田さん、変だなって」 「変ってなによ。失礼ね」 「もちろん見た目のことではないです」 「見た目が変だなんて言ってきたらあなたの足を思いっきりヒールで踏んでるわよ」 「はは、恐い恐い」 つんとしたわたしの態度に北原は一度視線をそらして笑い、またこちらを見た。 「俺、心配してるんですよ友田さんのこと」 でた。北原はなにかとわたしにそういうことを言う。 それに、確か先週は『可愛げがない』と言われたんだっけ。 思い出したわたしは顰めっ面になり、北原を見た。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!