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頭の中は混乱状態。だから逃げるように帰るので精一杯だった。 家に帰ってソファーで一息ついてもまだどきどきしていた。 だって、付き合ってみないかなんて、意味がわからない。 昼間に「勘違いするなよ」と、散々なことを言ったくせにどうして。 ――ああ、もしかしてわたしが昼間失礼なことをしたから、からかって小馬鹿にしようとしたのかな。 でもあれは早瀬さんが人を嘲笑うような態度だったから、ついカチンときてしまって、馬鹿にしないでくださいという意味のキスだったわけで……。 改めて考えてみるととんでもない行動だったなと、赤面して頭を抱える。 あのときは後のことをまったく考えていなかったんだもの。 どうしよう。色々考えれば考えるほど恥ずかしくなってくるし、わけがわからなくなる。 そしてまたどきどきが強くなってくる。 早瀬さんのことは忘れるんだと、そう思っていたはずなのに。 もやもやとどきどきで忘れることはできなかった――
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