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「どこ行ってたの?」
「校内放送で呼ばれたと思って。でも途中で人違いに気づいて、戻ってきたとこ」
「校内放送?」
「うん、さっきの。最初、私と似たような名前言ってなかった?」
すると友人たちは互いの顔を見合わせ、それから私に向かって首を振った。
「全然? もしかして、あの放送で教室出て行った?」
「急に立ち上がって出て行くから、どこへ行くんだろうって思ってたよ」
口々にそういう彼女たちは、不思議そうに私を見た。
つまりあれを私が呼ばれているのだと勘違いしたのは、私ひとりだけだったのだ。
不思議だった。
普通なら間違えるはずがない。
でも、間違ったおかげで私は大怪我をせずに済んだ。
もしかしたら父が守ってくれたのではないか。
ふと、そんな気がした。
誰かが呼んだらしくて担任の先生がやってきて、ガラスを割った男子に破片を片付けるよう言いつけていた。
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