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私は泣きながら、何度も何度も名前を呼んだ。
頭を撫で、もみくちゃにした。
ビリーは激しく尻尾を振って応えてくれた。
嬉しくて嬉しくて、私はビリーを抱きしめた
懐かしい、太陽の匂いがした。
目が覚めて、夢だとわかった時はがっかりした。
本当にリアルな夢だった。
台所で朝食の用意をしていた母にそのことを話すと、母は驚いた顔をしてこんなことを言い出した。
「お母さんね、今朝ビリーの足音聞いちゃった」
「え?」
私は思わず聞き返した。
そんなこと、あるわけない。
「廊下を歩くビリーの爪の音。チャッチャッチャッて」
「夢の中で?」
「違う違う、もう起きようと思って時計を見た後だもん。ちゃんと目が覚めてからよ」
私は信じられない思いで母の顔を見つめた。
夢じゃなく、本当にビリーはこの家に帰ってきてたのだろうか。
では私の見たあの夢も、ただの夢じゃなかったのだろうか。
「あ!」
私はあることを思い出して声を上げた。
「おかあさん、お盆!」
中学一年の冬以来、お盆になると仏壇の周りにお供えものを積み上げたり灯籠などを飾ったり精進料理をお供しえたり、毎日は亡くなった父を中心に回っていく。
それがあまりに当たり前過ぎて、他のことは考えたこともなかった。
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