4人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、そう、今日は8月14日。
昨日、母と一緒に父の為に迎え火を焚いたのだった。
その時、ビリーの魂も一緒に帰ってきてくれたのだろうか。
母は大急ぎで、ビリーが好きだったおにぎりを作った。
本当は人間のご飯なんて犬にあげちゃいけないんだけど、いくら言っても母はビリーが欲しがるからと言い訳をして、中に何も入れないおにぎりを作ってあげていた。
ビリーはそれが大好きで、母が準備を始めると鼻をひくひくさせながらオスワリをして、いい子で待っていたものだった。
出来上がったおにぎりは、棚に飾ってあるビリーの写真の前にお供えをしてあげた。
ところがしばらくすると、パタン、と何かの音がした。
見ると、地震もないのにビリーの写真を飾った写真立てが倒れていた。
おかしいなと思って起こしてみると、ちょうどおにぎりの上に倒れたせいで、ビリーの口元にご飯粒がついていた。
「お母さん、見て! ビリーがおにぎり食べた! やっぱりビリーは帰ってきてる!!!」
ビリーは今、この家の中にいる。
私はそう確信した。
そして夢の中でもいいからもう一度ビリーに会いたい、ビリーの足音を聞きたいと願ったが、お盆が終わるまでにとうとうどちらも叶わなかった。
最初のコメントを投稿しよう!