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青ざめていた顔に、徐々に血色が表れる。
怯えていた表情は、ふにゃっと垂れ下がり、そして……
「ふ……っ、ぇ……」
ポロポロと大粒の涙をこぼした。
「ひっ……く、は……、ふ……っ」
しゃくり上げながら子供みたいに泣いている姿を、そっと抱き締める。
細い腕。
白い肌。
鈴のような声。
それは、昨日までと何も変わってはいない。
記憶を無くしても、俺たちが姉弟という事実は変わらない。
「じゅ……ん、じゅん……っ」
ごめん、愛。
こんなに震えているのに。
こんなに怖がっているのに。
唯一、俺を必要としてくれているのに。
こんな時でも、欲情している。
姉に恋をしている。
俺が弟で、ごめん。
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