恋とは奥深い

2/20
前へ
/20ページ
次へ
青い海。 爽やかな潮風。 本日は晴天なり。 「わあああああああああ!!」 叫ぶ。 あたしは叫ぶ。 青い海が真っ二つになりそうなくらい叫ぶ。 秋月 楓(あきづき かえで)二十八歳、渾身の思いで叫ぶ! 「……何用だ?」 叫ぶあたしの背後から謎の男が出現。 「わぁ、侍みたい」 長めの黒髪を後ろで一つに縛った青年。 背が高く、切れ長の瞳。 甚兵衛がよく似合う。 中々、渋い。 「思ったことすぐに口に出すんだな」 切れ長の瞳で青年はあたしを見ている。 「あ、すみません。 海に向かって叫んでただけでして……」 心の声がすぐに出ちゃうのはあたしのいけないとこなんだよね。 「叫ぶのは構わないが、凄く大きい声がして心臓に悪い。 見た目はお嬢様なのに凄いギャップ」 この人も人の事言えない。 結構、思ったことさっきから言っているような気がする。 「すみません」 何だか似た者同士の青年にあたしは再度謝る。 これはまさに……。 類は友を呼ぶってヤツね。 「お蔭で目が覚めて命拾いした」 青年は呑気に背伸びをする。 「い、命拾い?」 命乞いって……。 呑気に背伸びをしながら言う事なのだろうか……。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加