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「と、取りあえず!! これ以上俺をこき使うようならストライキを起こす所存です!! もしくは、賃金の値上げをしなければボイコットを実行します!! 具体的には、働かない!! 俺は本気だでっ!!」
興奮しすぎて舌噛んだ。
「生意気言ってるんじゃないよ。仮にあんたに自由な時間や金を渡してもくだらないことに費やすのが落ちじゃないかい。それとも何かい? あんたにそれらを有意義に使う当てでもあるってのかい?」
「ない!!」
祖母の口もとがひくついた。
やだ俺ってば、かっこいい。
「どこをどう間違えたらこんなひねくれた孫ができるんだろうね、まったく……」
「素直で自分に嘘をつけないまっすぐな子と言う言い方もできますが?」
「あぁん?」
「ひゃっひ……!! で、ですが学生の本懐は勉強もといそれにもとずく学園生活だと思うんです。その青色の春をかなぐり捨てさせ労働に費やさせるのは人道的に批判されても仕方ないとはおもうんですよ!!」
そんなことを言いながらも目は行き場を失ったようにせわしく泳ぎ続ける。
ダメ、この人本気で怖い……。
祖母は思案に暮れているのか、うつむき加減に下を向いていた。
数瞬の沈黙の後、大きく息を吐く音が聞こえた。
それに伴いまたしても煙草の煙が天井に向け昇っていく。
その煙はまるで開戦を告げる狼煙のごとくこの場を緊迫させていくようだった。
「あんたの言い分は、まあわかった。つまり要は、今より休みが多く、なおかつ給料がより多くもらえ、さらには充実した学園生活が送れる環境を作れるように計らえってことだね」
「まあ、大体は……」
そんな祖母の口から紡がれた次の言葉は俺の頭の中にある言葉を浮かび上がらせるには十分すぎるものでした。
「その言葉、忘れるんじゃないよ」
恐怖。
どうやら俺は、地雷を踏んだようです。
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