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そう言えば、ジュースに混入する毒ってどんなのを扱っているんだろう。そう思い、
「毒はどんな種類があるの?」
興味本意で訊いてみる。
「此方になります」
受付嬢がそう言って取り出したのは、透明な液体が入った小さなスポイトだった。
毒薬って、髑髏マークのレッテルが張ってある黒い瓶に入ってるのを意識していたけど、科学の授業で見るようなスポイトとは雰囲気も何もないな。
「冗談が過ぎるよ。それでやれと?」
「お客様は毒殺での殺人を選択されましたね。という事は殺害対象は一人に限定されると考えられます。よって人間一人分の致死量の毒薬をお持ちしたんですが…」
「瓶じゃ、ないんだ」
「一人だけを殺害するのにそれ以上の量が必要でしょうか? 人間一人分を超える毒薬の使用は、犯罪道具の無駄遣いですよ。それに、瓶なんて物を持参されますと見ただけで犯罪が露呈してしまいます」
変な所に拘るんだなこの会社。
「じゃあ、それで良いけど、それは何て毒なんだい」
「お客様にはご存じになる必要の無い知識だと私は思います。専門知識は完全犯罪には両刃の剣、知りすぎると却って其処を警察に叩かれますよ。後程『捜査の対応』で詳しくお伝え致しますが」
あくまで教えない積もりか…。
まぁ俺は俺の人生の全てを奪ったあいつが許せなく、殺害してやりたいだけなのだが。
「捜査の対応って、それもプランニングの一つ?」
「はい。完全犯罪を遂行するうえで事後のアフターフォローを怠ってはいけません。捜査の対応では警察がお客様にして来る捜査手順に対する処置をお伝え致しますが、その前に二つ、プランニングしなければなりません」
「二つ?」
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