エピローグ

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 彼らの十年分の落書きだ。孝宏は壁に血みどろな死体や戦車などを描き、《たより》は日本の国旗を街で見かければ必ず赤い棒線で囲んだ。日の丸を幼児が描くような太陽に描きなおすという単純な悪戯だが、それは偶然にも日章旗になっていた。  此処は《結果だけの世界》。たとえ子供のいたずらにせよ、一度(結果)が定められた以上、過程が創造される。  と、なれば現実の世界にも影響が出て、日の丸だけでなく日章旗が掲げられるようなできごとが起きてしまう。  それが厳格なる《世界》の法則だった。          了
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