第1章 少年

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 今日は午後から小雨が降っていたが、今は晴れ渡り空に雲ひとつない。  月光に照らされて、七色が淡く白っぽい虹が出ていた。  月虹(げっこう)だ。  野山の目には、それが昇天する不運な少年の魂を迎える異界の門に見えていた。  彼は(せめて死後は天国で過ごして欲しい)と、桂男のために祈った。
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