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今まで定期的に精密検査を受けていたが、レントゲン写真一枚、目にしたことがない。
(なぜ?)
疑問で、その小さな胸が澱(よど)んでいった。
*
少年の担当医、野山康史(のやまやすし)は桂男の後姿を眺めながら考えていた。
世に絶望とはどんなものだろう。
言うまでもなく、八方塞がりで突破口がなく、一欠片の希望さえ見いだせない。それが絶望というものだ。
まさに浦見桂男という少年は、そういった状況にあった。
桂男は頭の中身が、ほぼ空洞という障害を抱えていたのだ。
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