初登校

3/3
前へ
/90ページ
次へ
 私達が通う語学学校のドアの前に1人、アジア人の女の子が立っていた。彼女は学校のベルを鳴らして名前を言い、中に入れてもらった。私達も真似してみた。 「アダムです」 「ハナです」 「OK」  と女性の声がして、中に入れてもらった。  生徒が集まるロビーに先ほどの女の子がいた。アダムは 「きっと日本人だよ。話してきて」  と私に言ったので私は彼女に 「Hi...Are you Japanese?(日本人ですか?)」 と尋ねた。彼女は 「No,Korean(いいえ、韓国人です)」 と力強く答えた。私は顏を真っ赤にし、アダムの肩を何度も叩いた。 「ねえ、日本人じゃないって! 恥ずかしいじゃない!」  アダムは笑いながら英語で彼女に話しかけた。 「ごめんごめん。名前は?」 「ソヨン」 「僕はアダム、台湾人。彼女はハナ、日本人。よろしく」 「私は中国語を話せるの」  それを聞いたアダムは嬉しそうに中国語で彼女と話し始めた。このソヨンという女の子。私は一目見て分かった。彼女の英語力は私の英語力と比べ物にならないほどだと。  彼女は授業が始まるからと別の教室に移動した。私は時差ボケがまだ 直らずメマイがしていた。外国人の生徒が集まってきた。イタリア、ドイツ、香港、台湾、日本…。  これから運命のクラス分けのテストが始まる。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加